緩降機の設置に係る留意事項について
避難器具の設置方法については、「避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目」(平成8年消防庁告示第2号。以下「2号告示」という。)に基準を示しているところですが、今般、緩降機の設置場所について疑義事項が生じたことから、その考え方について下記1.に示すとともに、緩降機を設置する場合の一般的な留意事項について下記のとおり取りまとめましたので、これらの事項に留意し、建物の設計者等に周知並びに設置指導されるようお願いします。
なお、下記事項については、建物の計画に影響する内容であることから、消防同意時等の計画段階において、その種類、設置場所等を確認されるようお願いします。
各都道府県消防防災主管部長におかれましては、貴都道府県管内の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対しても、この旨周知されるようお願いします。
なお、本通知は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条の規定に基づく助言として発出するものであること並びに当該通知内容について、国土交通省、一般社団法人日本建設業連合会、一般社団法人日本建築士事務所協会連合会、公益社団法人日本建築家協会及び公益社団法人日本建築士会連合会に対しても情報提供していることを申し添えます。
記
- 設置場所について
- 降下者の身体的安定等を考慮し、2号告示では、「緩降機は、使用の際、壁面からロープの中心までの距離が0.15メートル以上0.3メートル以下となるように設ける」こととされているが、この「壁面」は、全く開口部を有しない壁面であることまで求めているものではないことから、バルコニー等の部分についても、壁面のない部分の状況が緩降機での降下に支障を生じないものと判断できる場
合にあっては、壁面として取り扱って差し支えないものであること(2号告示第3第2号関係)。
- 降下空間(緩降機を中心とした半径0.5メートルの円柱形に包含される範囲以上の空間をいう。以下同じ。)及び避難空地については、原則他の緩降機と共用することなく単独で設けるものであるが、やむを得ない理由により共用する場合にあっては、器具相互の中心を0.5メートルまで近接させることができること。
- なお、降下空間については、建築確認申請書等には、建物の外部に設置される看板や樋等までは記載されないことも想定されることから留意されること(2号告示第3第2号関係)。
- 降下空間と架空電線との間隔は1.2メートル以上とするとともに、緩降機の上端と架空電線との間隔は2メートル以上とすること(2号告示第3第1号.ヌ関係)。
- 取付部について
- 緩降機を取り付ける部分の開口部の大きさ及び操作面積については、一定の大きさを確保し、さらに当該開口部の下端については、床面から1.2メートル以下とすること(2号告示第3第1号.イ及びニ並びに第2号.関係)。
- 緩降機を取り付ける部分の開口部の床面からの高さが0.5メートル以上の場合は、有効に避難できるように固定又は半固定のステップ等を設けること(2号告示第3第2号.関係)。
- 緩降機を取り付ける部分の開口部に窓、扉等が設けられる場合にあっては、ストッパー等を設け、窓及び扉等が緩降機の使用中に閉鎖しない措置を講ずること(2号告示第3第1号.ハ関係)。
- 取付方法について
避難器具を取り付ける固定部には、一定の強度が求められることから木造部分への取り付けを避けたり、取付け具を固定するには、一定の強度を有する金属拡張アンカーで施工する必要がある等、避難器具を取り付ける固定部の強度、取付け具の構造及び強度、取付け具を固定する場合の工法等については、一定の基準が定められていることから留意されること(2号告示第8関係)